発行可能株式総数を決めましょう
会社の設立にあたり、「発行可能株式総数」を決める必要があります。
発行可能株式総数とは
「発行可能株式総数」とは、株主総会の決議によらずに、取締役会(取締役による会議体)の決議だけで発行できる株式の数をいいます。(取締役会を設置しない会社の場合は株主総会決議になりますが、その場合でも特別決議が不要になります。)
発行可能株式総数を決める理由
なぜこのようなものを決めなければならないのかと思われるでしょう。
株式会社は、借入という方法のほかに出資を募るという方法で資金を集めます。
出資してもらったときには、会社設立時と同じように、お金と引き換えに株式を出資者に渡します。この出資者に渡す株式数の上限を、「発行可能株式総数」として、あらかじめ決めておくのです。
上限を決めておく理由は、取締役会が株主の許可をとらずに無制限に発行できると、株主にとって損失となる場合があるからです。
たとえば、あなたが51%の株式を持って安心していたところに、勝手に取締役会が株式を発行し持分が小さくなってしまうということがあります。
ただし、株式発行のために毎回株主総会を開いて、特別決議をしていたのでは迅速な資金調達が難しくなります。
なぜなら取締役会は取締役数名が集まって行えばよいものですが、株主の場合は、大きな会社では株主は多数、全国にいて、いちいち株主総会開催の通知をしなければならず、株主総会を開くのは大変な時間と労力を要するからです。
そのため、一定の上限を決めておいて、そこまでは取締役会で自由に株式を発行してもいいですよ、と許可しているのです。そして、一定の上限を超える場合には、株主総会でもう一度特別決議をして、上限を決めましょう、という仕組みにしているのです。
と、いうのが、一般的なお話です。
発行可能株式総数の決め方
ここで、あなたの会社について考えてみましょう。
おそらく、あなたの会社では、株主と取締役(取締役会)は同じではないでしょうか。とすると、上記のようにあらかじめ上限を設けて、取締役をけん制するということは必要ないので、「小さくしておけばいいや」と思われるかもしれません。
ですが、「発行可能株式総数」は登記事項ですから、あまりに小さく設定してしまうと、その都度登記の変更を行わなければならず、手間と手数料がかかってしまいます。
ですから、「発行可能株式総数」は、将来増資したときに、何株くらい発行したいのかを目安に決めましょう。
とはいっても、なかなか決めることは難しいと思います。
そういう場合は、「えいやっ」で適当に決めましょう(笑)。
どうしても必要な場合は、一定の手続きを踏めば変更できるのですから。